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職業病全開!UI/UXが気になって仕方ないWebディレクターが唸った「育児の神アプリ」3選

Posted by TOM
「MONSTER REPORT」先輩モンスターたちが、仕事・就活・カルチャーについてリアルに綴るコラム

はじめに

私はこれまでWebディレクターとして大小様々なサイト設計に携わり、近年はUI/UXが重視される背景もあり、ヒューリスティック調査(専門家の知見に基づいたUI/UX評価)にも力を入れてきました。

そんな私の「職業病」とも言えるのが、日常生活で触れるあらゆる制作物が気になり、無意識に分析・評価してしまうことです。

Webサイトやアプリはもちろん、街の看板、電車内の広告、レストランのメニュー表、病院の予約システムから配送業者の再配達予約に至るまで。気がつけばUI/UXを分析してしまっています。

「このデザインの狙いは?」「なぜイケてる(またはイケてない)と感じるのか?」「このボタンの配置、操作性や可読性はどうなのか?」と、常に脳内で採点している状態です。そのおかげで、毎日片道1.5時間の電車通勤も車内広告を観察しているとさほど長く感じません。

そんな私には子どもがおり、現在も育児に奮闘中です。 今回は、私自身の過酷な育児を支えてくれたアプリやWebサービスの中から「これはUI/UXが本当に優秀だ!」と唸った神アプリをピックアップし、Webディレクターの本気目線で分析・ご紹介したいと思います。

「育児の神アプリ」紹介

『ママパパマップ』

blog_260703_001.png 『ママパパマップ』は、全国の授乳室やオムツ替えスペースを現在地から瞬時に検索できるマップアプリです。ユーザーのニーズに合わせて進化を続け、「お湯あり」「ベビーカーごと入れる」といった詳細な条件での絞り込み機能に加え、実際に利用した親から写真や口コミが豊富に集まり、赤ちゃん連れのお出かけを強力にサポートします。

圧倒的に高い「ユーザー解像度」と検索軸

一般的なマップアプリなら「授乳室あり」というフラグ1つで終わらせるところを、「お湯があるか」「電子レンジはあるか」「男性も入室可能か」「ベビーカーごと入れる広さか」など、育児中の親が本当に知りたいニッチな条件(ユーザーの課題)を完全に網羅・構造化している点が秀逸だと思います。私はこの男性利用可否の情報で何度も助けられました。

「焦燥感」を和らげる直感的なマップUI

焦っている時に文字を読ませるのではなく、地図上のピンの色やアイコンの形だけで「そこに行けば何が解決するのか」が直感的にわかるUI設計。現在地からの距離感やルートへのシームレスな連携など、「認知負荷」を極限まで下げるための無駄のない引き算のデザインとして評価できます。

UGC(ユーザー生成コンテンツ)の質の高さと導線

公式情報だけでなく、「実際の写真」や「親のリアルな口コミ」が集まる仕組みが秀逸です。これにより「入り口の段差の有無」や「清潔感」といった、公式には出づらい定性的な情報をユーザー同士で補完し合える仕組みが作られています。

『キッズドクター』

blog_260703_002.png 『キッズドクター』は、子どもの急な体調不良時に、スマホから医療専門家に頼れる小児医療アプリです。病院が閉まっている夜間や休日でも、無料で看護師にチャット相談ができるほか、必要に応じてビデオ通話でのオンライン診療や、医師が自宅に来てくれる往診の手配まで、アプリひとつでシームレスに完結します。

「パニック時の認知負荷」を徹底的に排除したトリアージUI

私が利用したのは2歳の子が夜中に高熱を出した時でした。泣き叫ぶ我が子を前に、文字を読んだり複雑な入力をする余裕は1ミリもありません。

『キッズドクター』の素晴らしい点は、そんな状況でも迷わない「読ませない・考えさせないUI」です。医学用語は使わず、「熱がある」など見たままの症状をタップするだけ。パニックで低下した認知リソースを考慮し、極限まで手数を減らした「引き算のUI」はユーザー中心設計の鑑です。

ユーザーの孤独と不安を解消する「ステータスの可視化」

オンライン診療の待ち時間は先が見えないと不安になりがちですが、このアプリは「現在の状況」や「待ち人数」などの進捗をリアルタイムで可視化します。

ディレクター視点で見ると、これは単なる機能実装ではなく、「待たされているユーザーの不安をシステムでどう解決するか」という、UXの視点から逆算されたUI設計であることがよく分かります。

「優しさ」と「信頼性」を両立させるビジュアル・アイデンティティ

医療アプリにありがちな「冷たさ・事務っぽさ」がなく、子ども向けにも寄りすぎず「信頼感」を損なわない、絶妙なグラフィックとカラーのトーン&マナー。深夜に見る親の目に優しい配色やフォントの可読性など、細部に宿る「優しさの設計」からは、デザイナーやディレクターの執念を感じます。

『アソビュー!』

blog_260703_003.png 『アソビュー!』は、休日の「どこ連れて行こう問題」を解決してくれるお出かけ予約アプリです。「当日予約OK」「雨の日OK」といった親が本当に欲しい条件で、子どもが楽しめるスポットを瞬時に検索できます。現地のチケット売り場の行列をスキップしてスマホ1つでスマートに入場できる、親のタイムマネジメントの強い味方です。

親の「今、どうにかしたい」を叶えるファセット(絞り込み)検索

私が利用したのは、旅行先で急遽予定が変わり、代わりのレジャースポットを探すことになった時でした。『アソビュー!』で検索し、当日にも関わらず「いちご狩り」の農園を見つけ、更にクーポンでお得に利用できました。

『アソビュー!』の検索画面を開くと、情報設計のプロとして感心させられます。パパ・ママが検索時に求める「当日予約OK」「雨の日OK」「幼児(あるいは小学生)が楽しめる」といった利用環境に直結するフィルターが、最もアクセスしやすい位置に配置されているからです。

曖昧なキーワード検索に頼らず、親の頭の中にある条件をタップだけで絞り込める検索軸の設計は、ユーザーの「探すストレス」を極限まで減らしています。

子どもを待たせない、購入から入場までの「フリクションレスUX」

現地のチケット売り場で、大行列に並ぶ時間。子どもは「まだ?」「早く入りたい!」とぐずり始め、入場前から親のHPは削られます。このサービスの最大の価値は、単に「予約ができる」ことではなく、現地で行列に並ぶという無駄な時間をUXから消し去ったことにあります。

直前でもスマホでサクッと購入でき、現地ではメールやアプリの二次元コードを提示するだけでスムーズに入場できます。電子チケットのUIが非常にシンプルで迷わないため、「子どもを待たせない=親の平和が保たれる」という、育児において最も重要な価値を体験レベルで提供してくれています。

神アプリから得た教訓を実作業に活かす

blog_260703_004.png これまで挙げたアプリから得た「多様なユーザーのリアルな課題を想像し、UI/UXで解決する」という教訓は、私自身の実際のWeb制作の現場でも大いに活かされています。

一例として、私がUI/UXデザインの設計に携わった某大手鉄道会社のサイトリニューアル案件でのエピソードをご紹介します。

交通インフラを担う同社のサイトには、毎日膨大な数のユーザーが様々な目的で訪れます。急いでいる通勤客、初めて東京を訪れた観光客、そしてベビーカーを押す親や障がいを持つ方々。私は育児アプリで学んだ「余裕のないユーザーを救う設計」を、以下2つの主要コンテンツに落とし込みました。

【運行状況表示】パニック時の認知負荷を下げる「引き算」と「色への配慮」

朝の通勤ラッシュ時や人身こと故などで電車が遅延している時、ユーザーは「遅刻するかもしれない」という強い焦燥感の中にいます。これはまさに、「キッズドクター」を利用する深夜の親のパニック状態と同じです。

そのため、細かいテキストを読ませるのではなく、ユーザビリティの観点から情報の正しい階層化と直感的なUIを徹底しました。

「遅延」や「運転見合わせ」といったステータスを最上位に配置し、ひと目で状況がわかるアイコンを採用。さらにアクセシビリティにも注力し、色覚特性のある方でも見分けられるコントラスト比を厳格に設定しました。「赤と緑」といった色情報だけに依存せず、形(アイコン)と文字情報を併用することで、誰もが瞬時に「平常運転か、異常こと態か」を判断できる認知負荷の低い設計を実現しました。

【路線・駅情報】当こと者目線の「解像度の高い案内」と「見えない気遣い」

ベビーカーや車椅子を利用する方にとって、エレベーターの有無や動線は外出の成否を分ける死活問題です。これは「ママパパマップ」で学んだ、ユーザーのリアルな文脈を理解することそのものでした。そこで駅構内図などの案内ページでは、直感的なアイコンを用いて迷わず情報に辿り着けるUIを構築しました。

また、アクセシビリティの観点から「音声ブラウザ対応」にも注力しました。情報量が多く複雑な駅構内図において、単に画像を置くだけでなく、alt属性や周辺の説明文を精査。機械的な記述を避け、音声だけで次の行動を起こせる情報か?という視点でエンジニアと議論を重ね、細部のテキストまで気遣いを徹底しました。

育児アプリたちが体現していたリアルな状況に想像力を働かせて寄り添うという、ディレクターとして本質的なアプローチを実践できたと感じています。

さいごに

今回紹介した3つのアプリは、どれもユーザーの隠れたニーズを徹底的に研究したプロダクトでした。

UX設計ではペルソナ分析を行いますが、私自身、親になって初めて「エレベーター探しの苦労」など当事者でしか気づけない課題を痛感しました。「机上の空論を避け、解像度の高いリアルな情報を泥臭く集めることが何より大切である」ということを、改めて思い知らされました。

今回ご紹介したアプリのように、ユーザーやお客様が抱える「リアルな課題」をテクノロジーとデザインの力で解決していくことはとても有意義であり、Webディレクターとして、これからもそんなモノづくりに貢献していきたいと強く感じています。

「MONSTER REPORT」先輩モンスターたちが、仕事・就活・カルチャーについてリアルに綴るコラム
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