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ライブ配信現場の命綱! 映像周りのケーブルについて

Posted by AKI

LIVEプロダクション事業部でアシスタントをしています。AKIと申します。
今回、日頃から当たり前に使用しているケーブルについて、勉強もかねて少し深堀りしたいと思います!

ケーブルの種類

同軸ケーブル

同軸ケーブル - 1

映像音声信号の伝送用として当たり前の様に使用しているこちらのケーブルですが、なぜ同軸ケーブルというのでしょうか。
断面図を見れば一目瞭然で「軸を同じくした円筒を入れ子にしている」ということからこちらの名称になったそうです。

<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8C%E8%BB%B8%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB

同軸ケーブル - 2

その他呼び方として「BNC」「SDI」と呼ばれたりしますが、これは業務用の映像機器はBNCのコネクタになっているため「BNCコネクタ」が取り付けられていることからや、SDI信号伝送用ケーブルとしてあるためです。

太さも段階も3~10とさまざまあるそうですが、弊社所有の太さは以下3つになります。

同軸ケーブル - 3

同軸ケーブル - 4

同軸ケーブル - 5

機器の位置関係や引き回し距離,取り回しの都合を考慮し運用していきますが、太ければ太いほど映像信号の減衰は免れるため基本的には5番を運用しています。

5番のケーブルを5本束ねたマルチケーブルも!(とても重宝しています)

マルチケーブル

また、SDIの信号にもさまざまな種類があります。

  • SD-SDI(480i/525i)
  • HD-SDI(750p/1125i/1080i)
  • 3G-SDI(1080p)
  • 6G-SDI(2160p 30fps)
  • 12G-SDI(2160p 60fps)
  • etc...

同じSDIでも扱う信号の種類に対応していなければ、信号を正確に伝送することができないため適切なケーブルを使用する必要があります。

ちなみに、個人的に中身がかなり気になったので、見てみました!
実際に分解して見てみると、こんな細い導体で伝送しているんだと改めて感心しました...。

SDIケーブルを分解してみた

<参考>
https://www.doujiku-hikari.com/coaxial/info/

VGAケーブル(Video Graphics Array)

VGAケーブル(Video Graphics Array)

PC機器用として作られた規格。
アナログRGBケーブル, D-Sub15pinケーブル(D-Sub15pinコネクタが取り付けられているため)とも呼ばれています。
今やほとんどの機器でデジタル信号化されているため、使用することは少ないと思いますが様々な機器に見られます。

汎用性の高い規格だとは思いますが、感覚的に一昔前の映像出力用ケーブルになりますでしょうか...。

<参考>
https://jp.ext.hp.com/campaign/business/others/library/1808_port/

DVIケーブル(Digital Visual Interface)

こちらもVGA同様に映像出力のみPC用規格ですので、音声が必要な場合は別途音声用のケーブルが必要になりますが、個人的にはVGAの完全上位互換だと思っています。

最大解像度がシングルリンク仕様で1920×1200。

DVIケーブル(Digital Visual Interface) - 1

デュアルリンク仕様で2560×1600。

DVIケーブル(Digital Visual Interface) - 2

ということで、4K,8Kなど対応はしておりません。
ですが、それまでの解像度であれば無圧縮で送ることができるため、そこまで高解像度出力を必要としないのであれば、十分な性能ではないかと思います。
DVIケーブルはデジタル信号化の先駆けのため、DVI-A(アナログ専用)、DVI-D(デジタル専用)、DVI-I(アナログ&デジタル)、の3種類が存在します。
メリットとしては、解像度に限界があるにしろ、上記に書いているように無圧縮で伝送することができる点と、コネクターの接続部分をねじ止めすることができるため、基本的に不意にケーブルが外れる心配がない点も大きいと思います。
規定では5mとされており、それ以上のものに関してはHDMI同様に信号の減衰が起こる場合もあるそうです。

<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/Digital_Visual_Interface
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/display/howto_dvi/index.html

HDMIケーブル(High-Definition Multimedia Interface)

HDMIケーブル(High-Definition Multimedia Interface)

A/V機器接続用として作られたこちらの規格は、馴染みの深いケーブルだと思いますが、利用用途は同軸ケーブルと並んで多岐に渡ります。
配信周りではモニター, カメラ, スイッチャーなどの業務用機器の映像伝送、音声embededした機器から、キャプチャーボードに取り込み配信するなど様々です。

HDMIにはパッシブタイプアクティブタイプの2種類あります。

パッシブタイプ

ケーブル自体に入出力の向きが決まっていないため、とても使い勝手が良いですが5mを超えてくると信号に減衰が起こるともいわれています。

アクティブタイプ

入出力の向きが決まっているため、扱いがやや面倒ですが、SDI同様に長尺ケーブルがあり、長距離運用も可能です。
しかしケーブル内で一度変換していることもあり信号の安定性といった部分ではパッシブタイプに劣ってしまいます。
なので、業務用として映像信号を長距離で伝送したい場合はHDMIケーブルではなく、同軸ケーブルでの引き回しが必要になってくると思います。
※参照 https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/hdmi/hdmi.html

HDMIケーブルのメリット、デメリット

メリット

  • 業務用機器や民生品に分け隔てなく取り付けられているため、非常に汎用性が高い。
  • 音声も同時に送ることができるためとても利便性が高いところです。

デメリット

  • 5mを超えると映像信号の減衰するといわれている。
  • 同軸ケーブルのBNCコネクタと違い、接続部分をロックできない。

〜デメリットに関しての補足〜

音楽系の配信で、特に「生演奏やLIVE会場で〜」とかになってくると、音による振動が思ったよりもものすごく大きく、並べている機材がLIVE音によって振動しているのがわかるくらいの時もあります。
その振動によってケーブルの刺さりが甘くなり、「ある瞬間に・・・」なんてことも十分あり得ることですので、接続部分はしっかりロックできるに越したことはありません。 なので基本的に接続部分でロックできないものは、養生テープなどでしっかり補強しています。

<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%B2%BE%E7%B4%B0%E5%BA%A6

Displayport

Displayport

PC機器用でDVIの後継機として作られた規格が、こちらのケーブルです。
Displayport1.2は4K、Displayport1.4は8Kに対応、そして更に2019年にリリースされたDisplayport2.0によって最大可能解像度は16Kまで大きくなりました。
HDMIケーブルと対となっている印象がありますがHDMIよりも最大解像度,リフレッシュレートが高く、映像の出力に特化しているケーブルになります。
音声も同時に出力することができますが、元々がPC機器用ということもありHDMIケーブルに比べると音質は下がってしまいます。

Displayportの端子にはシングルモードデュアルモードがあります。

シングルモード

Displayportのみの出力(DVI/HDMIの互換性を持たない)

デュアルモード

Displayport→DVI/HDMIの出力が可能(DVI/HDMIの互換性を持つ)

また、出力の変換ケーブル(Displayport-DVI/HDMI)としてはパッシブタイプとアクティブタイプの2種類があります。

パッシブタイプ

信号の変換を行わない。

アクティブタイプ

信号の変換を行う。

よって、基本的にはデュアルモードの場合はパッシブタイプ, アクティブタイプのコンバーターをどちらも使用でき、シングルモードの場合は信号の変換を行わなければならないので、アクティブタイプのコンバータを使用する必要があります。

HDMIケーブルと比べた時のメリット, デメリットについて  

メリット

  • 高解像度,高リフレッシュレート。
  • 抜け防止のツメがついているものがある。

デメリット

  • 音質が劣る。
  • PC機器用のためHDMI程多くの機器に備わっていないため汎用性に欠ける。
  • DVI/HDMI出力するには信号の変換が必要。

<参考>
https://ja.wikipedia.org/wiki/DisplayPort

まとめ

今回は映像周りのケーブル(一部)になりましたが、他には音周りのケーブルやインターネット配信には欠かせないLANケーブルもあります。
特にLANケーブルは映像や音の伝送用にも使われているなど、幅広く使用されていたりしますので、こちらは別の機会に深堀りできたらと思っています。
目的や用途として代わりの効くケーブルですが、何気なくその場にあるから使うのではなく、深くまで理解した上で一つ一つ意味を持って使用していくことで安定した現場が作られると思います。
現場を経験しているだけでは身につかない「基礎、基本」
ライブ配信という生モノを扱っている以上、こういった知識もしっかり身につけ、防げる事故をしっかり防いでいきたいと思っています!

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