本文へジャンプ

生き残れるか、空冷エンジン!

Posted by KEN

『RIDE HI』も創刊から1年が経とうとしています。
雑誌もWEBも、そしてYouTubeに BIKE GATHERINGのイベントも、着実にファンの方々から支持して頂けるようになり、日々ひたすら感謝!

そんな我々が日々情報をお届けしている最新スポーツバイクは、電子制御の進化もあって、300km/hが可能なバイクは珍しくありません。
しかしバイクは高性能とは無縁の、エンジンの鼓動やルックス重視のトラディショナルなカテゴリーも人気です。
それを象徴しているのが"空冷エンジン"。
今回はオートバイの知識がない方にもお仲間との談義ネタとなる、ちょっとした改革が起きている"空冷"について、お話をしてみようと思います。

クリーンな排気を目指すほど"水冷"化が必然に。

クリーンな排気を目指すほど

いま市販されている、ほとんどのエンジンは"水冷"です。
とはいえ、エンジンにホースで水をかけているのではなく、気化したガソリンが爆発する燃焼室や、ピストンが押し下げられ、クランク運動で回転へと変換している熱の発生源まわりを、ウォータージャケットで包み込み、そこへ冷却水が循環してラジエーターで外気が通ることで冷却する仕組み。
エアコンの室外機が熱風を吹き出しているのもラジエーターといえばおわかりでしょう。

対して"空冷"は、燃焼室やピストンが往復しているシリンダーに、冷却フィンと呼ばれるサーフボードのヒレ(フィン)が並ぶように刻まれていて、このフィンを走行風で冷却する仕組み。
エンジンのルックスもこの冷却フィンがデザイン上も目立つポイントとなり、"水冷"の表面がノッペリしてコンパクトなのに較べると、いかにも機械を感じさせます。

そして説明の必要もないでしょうが、"水冷"のほうが発熱を抑えられます。
エンジンは高性能を狙うほど、燃焼からすべてが熱くなります。
それでは性能を追い求めないバイクなら"空冷"で良さそうですが、そうともいかなくなってきたのです。
排気ガス規制がさらに厳しくなってきたからです。
クリーンな排気ガスを求めれば、出力に関係なく希薄燃焼といって、僅かな燃料を霧化した薄い混合気で燃やしたほうが高温で燃焼し、排気ガスはよりクリーンになります。
そうなるとパワーは二の次のエンジンでも、燃焼温度でより熱くなります。
ということで、日本製スポーツバイクは片っ端から"水冷"化され、"空冷"は数機種しか残っていません。

"空冷"は感馴染みやすいユルサがあり将来も必要という判断。

ところが海外メーカーでは"空冷"が、何と新規エンジンでも存在します。
カンタンに説明はできませんが、誤解を怖れずにいえば海外メーカーは"空冷"をローテクと決めつけていません。
電子制御を駆使して、全く新しい規準でパワーを優先しないクリーンな排気ガスのエンジン開発をしています。
それはスポーツバイクが感性を楽しむ乗り物だからです。
たとえば"空冷"エンジンは、アクセル操作に遅れを生じる「ユルサ」があります。
しかし多くのライダーにとって、これが安心感や積極的に操る「ヤル気」を促すことに繋がります。
鋭い反応は警戒心が先に立つので、刺激にはなっても信頼にはならないのを知っています。
だから"空冷"をこれからも必要として、従来の経験では通用しないテクノロジーに挑戦しているのです。

いま『RIDE HI』の誌面にはROYAL ENFIELDが頻繁に登場します。
元は英国のバイクメーカーですが、いまはマーケットの大きなインドで世界のトップメーカと肩を並べる生産量を誇っています。
そのROYAL ENFIELDも、"空冷"を主力としているメーカーのひとつ。
性能を表すスペックからは読めない、官能的なエンジンフィーリングと基本に忠実で裏切らない感性の車体づくりなど、ライダーを楽しませる手練手管に長けていて、私たちも誌面やWEBでその面白さを発信し続けています。

『RIDE HI』でもっと知ろう!

Recent Entries
MD EVENT REPORT
What's Hot?