
今年の4月から息子も中学生となり、長年続けていた少年サッカーチームのコーチを卒業しました。
自慢という事ではないですが、コーチをやっていてよかったという1シーンが卒団式の日にありました。
それは卒団式最後のあたりでした。
『卒団の言葉』を1人1人発表してもらったのですが、キャプテンを務めた選手からの言葉です。
3、4年生の頃、自分の態度に対してコーチ(SUG)に叱られたことがあったことを思い出します。そこからコーチへの感謝、関わり方みたいなものを意識するようになりました
彼を叱ったのはその1回きりで、当時は自分で強く言いすぎたかもしれないと反省していたのですが、それを3年間大事にしてくれていたという......
不覚にも涙腺崩壊してしまいました。笑
あー、書いているだけでもまた涙が......。
自分が何かを教えたというより、彼が自分で気づき、勝手に育っていっただけなのかもしれません。それでも、彼の成長のほんの少しにでも関われたことに、心から感謝しています。
さて、会社の話に変えます。
日々の業務でも生成AIの浸透がすさまじいスピードで進んでいて、提案資料や設計資料など、AIが叩き台を作ってくれる時代になりました。正直、便利すぎて後戻りできません。
でも、この卒団式でのやりとりを経て、あらためて感じたことがあります。人と人が関わる中でしか生まれない力、AIには絶対に代替できない「人間力」というものが、これからのWebディレクターにこそ必要になってくるんじゃないかと。
今回は、チームを預かるマネージャーの視点から、AI時代を生き残るWebディレクターに必要な「3つの人間力」について、私なりの見解をまとめてみます。

AIはプロンプトに書かれたことには、驚くほど的確に応えてくれます。裏を返せば、書かれていないことには気づけないというのがAIの弱点でもあります。
Webディレクターの現場では、クライアントが本当に困っていることと、口に出して説明されることが一致しないケースがよくあります。「デザインをもう少し明るくしてほしい」という一言の裏に、実は「競合他社より若く見られたい」という経営課題が隠れていたり。「スケジュール通りに進めてほしい」という言葉の奥に、「本音では品質の方が心配」という不安が潜んでいたり。
これは、サッカーの現場でも同じでした。「疲れた」と言う子の本当の理由が体力ではなくメンタルだったり、何も言わずに黙々とボールを蹴っている子ほど、実は一番モヤモヤを抱えていたり。言葉にされたことをそのまま受け取るだけでは、本当の課題にはたどり着けません。
Webディレクターに求められるのは、議事録に残らない表情や沈黙、ちょっとした言い回しの変化から、言語化される手前の課題を拾い上げる力だと思っています。AIに「これを読み取って」と指示できるのは、あくまで人間がその文脈に気づいた後の話。まず気づくところは、まだまだ人の仕事です。

AIに相談すれば、選択肢はいくらでも出してくれます。A案、B案、C案、それぞれのメリット・デメリットまで整理して。正直、ここまでは驚くほど優秀です。
ただし、AIは「どれかに決めて、その責任を負う」ことはしてくれません。プロジェクトが炎上したとき、クライアントに頭を下げるのも、チームに詫びるのも、次の一手を決めるのも、最終的には人間です。
私自身、サッカーのコーチをしていた頃も、まさにこの連続でした。練習メニューの選択肢はいくつも思いつくけれど、その日のチームの状態を見て「今日はこれで行く」と決めるのは自分の役目。うまくいかなかったときに「あの練習が悪かった」と誰かのせいにはできません。
Webディレクションの現場も同じです。AIが出した複数の選択肢を前に、「リスクを取ってでもこれで着地させる」と決め切る力は、これからますます価値が上がっていくはずです。選択肢を並べる人はAIも含めて増えていく一方で、決めて、背負う人は減っていく。だからこそ、決断できるディレクターの希少性は上がっていくと感じています。

冒頭の卒団式のエピソードに戻ります。あの選手は「叱られてつらかった」という経験を、今では感謝に変えて語ってくれました。これは、叱ること自体が良かったわけではなく、その厳しさの奥にある熱量や、普段からの関わり方が伝わっていたからだと思っています。
厳しいフィードバックだけをぶつけても、人はついてきません。逆に、優しいだけでも成長は止まってしまう。大事なのは、厳しい局面でも「この人はちゃんと自分を見てくれている」とチームが感じられる空気、つまり心理的安全性をつくることです。
Webディレクションの現場でも、炎上案件や無理なスケジュールに直面したとき、チームの空気を沈ませるか、前向きに切り替えられるかで、その後の生産性もアウトプットの質も大きく変わります。AIは正確な分析やタスク整理はしてくれますが、「大丈夫、一緒にやろう」という一言でチームの空気を変えることはできません。
多少の愛嬌や、へこたれない熱量。数値化しにくいこの人間味こそ、AIがどれだけ進化しても代替できない、マネージャーやディレクターの武器になると感じています。
「行間」を読む力、「決断」と責任を背負う力、そして「心理的安全性を創る」愛嬌・熱量。この3つに共通しているのは、どれもAIが「手前」まで運んでくれても、最後の一歩は人間にしか踏み出せないということです。
AIは、情報を整理し、選択肢を並べ、効率を上げてくれる最高の相棒です。でも、文脈に気づき、決めて、チームの空気をつくるのは、これからも変わらず人の仕事だと思っています。
息子の卒団式で感じたことは、そのままマネジメントの現場にもつながっていました。効率化がどれだけ進んでも、人と人との関わりの中でしか育たないものがある。そのことを、これからもチームの現場で大事にしていきたいと思います。
現在、MONSTER DIVEで私たちと一緒にこうした人間力を磨きながら成長したいメンバーを募集しています。少しでも興味を持った方は、ぜひWebディレクター(もちろん他の職種も)の募集ページや採用ブログをチェックしてみてください!